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主文
1 原判決を取り消す。2 被控訴人が,控訴人に対し,被控訴人を借主,A公庫を貸主とする平成11年2月12日付金銭消費貸借契約及び平成12年7月5日付金銭消費貸借契約に基づき原判決別紙債務目録記載の債務を負担していることを確認する。
3 訴訟費用は,第1,2審を通じ被控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
主文同旨第2 事案の概要
1 控訴人は,被控訴人に対して,貸金債権を有していたが,被控訴人は,破産宣告を受け,その破産手続は同時破産廃止により終了した。本件は,控訴人が,被控訴人の上記債務の連帯保証人との間で上記債務(主債務)が時効により消滅するのを防ぐため,被控訴人を被告として,上記貸金債権が存在することの確認を求める事案である。
2 原審は,同時破産廃止の時点において被控訴人に残余財産がなかったと認められるので,同時破産廃止決定が確定した日に被控訴人の法人格は消滅したととの理由により,本件訴えを不適法として却下したため,原告が控訴をした。
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第3 当事者の主張等
前提事実及び本件の争点(被控訴人の法人格が消滅したか否か)に対する当事者の主張は,次のとおり付け加えるほか,原判決「事実及び理由」中の「第2事案の概要」の「1」及び「2」記載のとおりであるから,これを引用する。(当審において控訴人が追加又は敷衍した主張)
平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)404条は,「会社ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス」と定め,同条1号は「第94条第1号,第3号,第5号及第6号ニ掲グル事由」と規定しており,株式会社は破産宣告によって解散するとされている。
旧商法417条は,「会社ガ解散シタルトキハ合併及破産ノ場合ヲ除クノ外取締役其ノ清算人ト為ル 但シ定款に別段ノ定アルトキ又ハ株主総会ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ2前項ノ規定ニ依リテ清算人タル者ナキトキハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ依リ清算人ヲ選任ス」と定めている。
なお,最高裁判所昭和43年3月15日判決は,会社が破産宣告を受け,同時破産廃止の決定を受けた場合で,残余財産が存在するときには清算手続をする必要がある旨を判示しているが,残余財産の存否は清算人が調査しなければ判明しないことであるから,解散した会社が清算手続を経ることなく法人格が消滅すると解すべき根拠はない。
同時破産廃止決定を受けた会社に残余財産があるか否かは,利害関係人の請求によって裁判所が選任した清算人が調査しなければ判明しないのであるから,残余財産の有無にかかわらず,清算人が残余財産の有無を調査し,残余財産がないことが確認された場合に,清算結了の登記を経由することにより,初めて法人格が消滅するものである。
清算手続によらずに,個々に残余財産の有無及び会社の法人格が消滅しているか否かを判断すべきという考え方は,法的安定性を欠くものであり,失当である。
本件においては,被控訴人は,破産宣告により解散し,しかも,同時破産廃止により当該破産手続が終了している場合に該当するから,清算手続に移行しており,法人格は存続している。
そして,被控訴人の清算手続は結了していないから,その法人格は消滅していない。
第4 証拠
原審記録中の書証目録記載のとおりであるから,これを引用する。第5 当裁判所の判断
1 前提事実に記載のとおり,名古屋地方裁判所は,平成14年2月4日午後5時,被控訴人に対し破産を宣告し,同時に破産廃止の決定をし,弁論の全趣旨によれば,上記決定は,同年3月12日に確定したことが認められる。また,弁論の全趣旨によると,控訴人は,本件各貸金債権の連帯保証人であるBの破産手続において本件各貸金債権の連帯保証債務履行請求権について破産債権の届出をし,債権表に記載されたが,当該破産手続は平成15年3月25日に終結したことが認められる。
2 そこで,次に,被控訴人の法人格が同時破産廃止により消滅したかどうかについて判断する。
株式会社は,破産により解散するが(旧商法404条1号,94条6号),破産により解散した場合には,取締役は,清算人とはならず(旧商法417条1項),破産管財人が選任されて,破産手続において清算手続を進めることになる(旧破産法142条)。
そして,破産した株式会社は,破産の目的の範囲内においてはなお存続するものとみなされる(旧破産法4条)。
以上のように,旧商法404条が破産を解散事由としながら,同法417条が破産による解散の場合には従前の取締役が当然に清算人となるとしていないのは,破産の場合には破産管財人が選任され,破産管財人が破産手続において残余財産の管理,換価,配当等の清算手続を進めるからであるが,旧破産法145条により株式会社が破産宣告と同時に破産廃止の決定を受けた場合には,破産管財人による清算手続が行われずに破産手続が終了するから,当該株式会社は,破産により解散したにもかかわらず,清算未了の状態のまま残ることとなる(そして,この場合,同時廃止決定においては,残余財産が破産手続の費用を償うに足りないと判断されたにすぎず,その手続において残余財産が全くないことが確定されたわけではない。)。
ところで,旧商法は,株式会社が解散した場合において,財産が全くなければ当然に法人格が消滅するとしているわけではなく,清算を結了して初めて法人格が消滅するとしている(旧商法430号,116条)。
そうすると,旧商法404条,417条は,同時破産廃止の場合には,残余財産の多寡,存否にかかわらず,引き続き同法の規定による清算が行われることを予定していると解するのが相当であり,旧商法による清算が結了して初めて,その法人格が消滅するというべきである(ただし,この場合の清算は,旧商法431条2項が適用されないなど,すでに破産手続を経由していることからくる例外があり得る。)。
すなわち,株式会社が破産宣告を受け,同時に破産廃止決定を受けた場合には,破産廃止によっては法人格は当然には消滅せず,清算事務の終了後,決算報告書の作成と株主総会におけるその承認により清算は結了し,当該株式会社の法人格が消滅すると解するのが相当である(旧商法427条,430号,116条)。
そして,本件においては,被控訴人について,破産宣告と同時破産廃止決定の確定後,旧商法による清算がされたとは認められない。
よって,本件においては,被控訴人の法人格が消滅したとは認められない。
3 そこで,続いて本案について判断するに,前提事実のとおり,控訴人は,被控訴人に対し,貸金債権を有していることが認められるので,控訴人の本件請求は理由がある(本件においては,消滅時効中断のために,その確認を求める利益がある。)。
第6 結論
以上判示したところによれば,本件訴えを却下した原判決は相当でないので,これを取り消すべきことになる。また,本件においては,控訴人の請求の当否を判断するためにさらに弁論をする必要がないから,民事訴訟法307条ただし書により,当審において本案判決をするのが相当である。
よって,原判決を取り消した上,控訴人の本件請求を認容することとし,訴訟費用の負担につき同法67条2項本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。
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